高炉を使って産業廃棄物を溶融処理
産業廃棄物を処理する方法には、高炉を使った溶融処理というものがあります。高い温度で効率的に廃棄物を処理する方法で、具体的な温度は種類によって異なります。
プラスチックが主体の場合はダイオキシンが発生しないように1300度以上に設定され、金属だと4000度程度まで高めて、溶かせるようにします。基本的に産業廃棄物は種類が多い上に汚れているなど性質も様々なので、最終的に埋め立て処分されることが多いです。しかし、溶融処理であれば埋め立てる量を減らせる可能性があります。
多くの産業廃棄物を処理するために選択される溶融処理は、ガス化と呼ばれるもので、文字通り大部分をガスにしてしまいます。
プラスチックは酸素が少ない状態で焼却されると、可燃性のガスとチャーと呼ばれる炭に分かれます。そのガスとチャーをさらに高温の状態に入れておくと、最終的にはスラグという物質に変化します。このスラグは、コンクリートやアスファルトの材料として使用できる資源です。
つまり、本来はそのまま最終処分場で埋め立てされるはずだった産業廃棄物が、溶融処理によって資源として生まれ変われるというわけです。また、スラグにはならなかった金属類も、より高い温度で溶かせば、同様に資源へと生まれ変わります。
また、ガス化とは別に灰溶融という処理も可能です。基本はガス化と同じですが、一度産業廃棄物に焼却処理を施して灰にした後、溶融処理を行う点が異なります。
最終的にはスラグを作って資源にできますが、一度灰にするという工程を挟むため、別のところで焼却処理した産業廃棄物も使えるという強みがあります。
そして、複数の工場が立ち並んでいるなど、数多くの産業廃棄物が出る場所では、溶融処理を行う高炉をその近くに設置しておくという手もあります。高炉で発生する熱は、エネルギーとしても活用可能。熱が必要な作業にそのまま用いたり、発電設備の動力源にしたりすることで、無駄なエネルギー発生を抑えられます。